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拓真館


■ フォトギャラリー拓真館
拓真館は、前田真三自らが開設した個人の写真ギャラリーです。廃校となっていた旧千代田小学校の跡地を利用し、地元美瑛町の協力を得て、1987(昭和62)年7月にオープンしました。「拓真館」の名称は、拓進という地名と真三・写真の真に因んで、命名したものです。館内には、前田真三がライフワークとして取り組んできた「丘」の連作を主として常設し、不定期に展示替えを行っています。10,000坪に及ぶ敷地は、自然の状態を生かした部分と植栽部分を区分けし、のべ250メートルに及ぶ白樺の回廊や10,000株のラベンダー、“ススキの小径”や“花園の道”など、四季折々の風情が楽しめます。 拓真館は'88年には「北海道町づく
り100選」の選定を受け、また'99年には前田真三と共に「日本写真協会賞文化振興賞」を受賞しています。






■ 丘のギャラリー拓真館
拓真館の周辺は、見わたす限りの丘の風景が続いています。丘陵地帯の景観を楽しみつつ拓真館に至り、そこで間近に見てきた風景のさまざまな季節の表情を写真を通して、改めて見直すことができます。これが従来の都市型ギャラリーと異なる拓真館の大きな特色となっています。



















「心に残る10枚」


■前田真三が自作を語る/『季刊 風景写真 第6号』(1990年夏号)より



  麦秋鮮烈

北海道美瑛
リンホフスーパーテヒニカV4×5 フジノン400ミリF8
f22 1/15秒 エクタクローム64P




  秋渓

長野県南アルプス
リンホフスーパーテヒニカV4×5 フジノン250ミリF6.7
f22 1/8秒 エクタクロームE3

【解説】この写真を撮った場所は、南アルプス北部の赤河原という所です。ここは私の写真人生でも大変意義をもつ場所でもあります。 この赤河原に丹溪山荘という山小屋があるのですが、私の会社、フォトライブラリー株式会社丹溪の名は、この山荘からもらってきたものです。
私は古くから山荘の上島四朗氏と親しくしていましたので、よくこの山荘に通っていました。この赤河原はその名の通り赤い御影石のとれる所で、石と水の実にきれいな所です。渓流の写真を撮るには、まことに好都合の場所でした。
この写真は晩秋の頃の1枚です。もちろん渓流が主体なのですが、バックの黄葉したカラ松がシンメトリックな形で、逆光に輝いていました。手前の落ちる滝を途中で切ってしまうという、一見大胆な構図になっていますが、この時滝の下部まで入るレンズの持ち合わせがなかったので、思いきって滝を中途で切り落としてみたわけです。当時こういった撮り方をする人はあまりいなかったので、結果的には多少新鮮味をもって、迎えられることになりました。
大切なことは、いろいろなことをやってみるということでしょう。そこに偶然傑作が生まれたとしても、それがその人の作品であることに違いはないのですから。





  ブナ林緑影

青森県蔦沼
ハッセルブラッド500C/M プラナー100ミリF3.5
f22 1秒 エクタクローム64P

【解説】八甲田山中に蔦温泉があります。といっても旅館は蔦ノ湯一軒だけです。この蔦ノ湯から歩いて十数分のところに蔦沼があります。ブナの原生林に囲まれたこの蔦沼はなかなか美しいところで新緑もいいが晩秋の頃のブナ林の渋い美しさはまた格別です。
温泉からこの蔦沼に行く途中のブナ林の低地に、蔦沼の水がここに湧出していると思われる細長い水溜まりがあります。この写真はそこで昨年五月下旬頃撮ったものです。
宿に一泊した翌早朝沼まで行って見ることにしました。まだ明けやらぬほの暗いブナ林には朝もやが立ちこめていて、水に映じたブナ林の影は暗く沈み込んで幽玄な世界を作り出していました。
撮影には少々暗すぎる感じでしたが、平素長時間露光は使い馴れておりますので特に迷うことはありませんでした。長時間露光によるカラーバランスを気にする人がおりますが風景写真では全くその必要はないようです。かえっていい結果を生む場合もあるものです。






  白い幻想

北海道上富良野
リンホフスーパーテヒニカV4×5 スーパーアングロン90ミリF8
f22 1/4秒 エクタクローム64P

【解説】私は小さい時から絵が好きで、若い頃はよく絵を描いていた時代があります。その頃自己流ですが墨絵なども描いていました。後年写真の世界に入って特別意識していたわけではありませんが、自分の好みの素材と筆法の中に何となく日本画ぽい感じがあったような気がします。そして何時の頃からか多少意識して写真の中に墨絵風の表現などもするようになっていったように思います。
この写真も10数年前に上富良野町の雪の丘で撮ったものですが、曇天の日を狙って空と雪を思いきりとばしてしまう方法をとりました。結果的には真白い画面に一条のカラ松林が横たわるだけという非常にシンプルな画面に仕上がりました。
当時写真でこういった表現をする人はおりませんでしたので、かなり注目を集めた一枚だったと思います。現在でもよくこの筆法を使っています。ちなみに同一場所でバックが青空のものも撮ってみましたが平凡な作品に終わりました。






  麦秋多彩

北海道美瑛
リンホフスーパーテヒニカV4×5 ニッコール150ミリF5.6
f32 1/8秒 エクタクローム64P

【解説】私が美瑛、上富良野の丘に通いはじめて、もう20年近くになりますが、はじめの頃から美馬牛峠の近くの津郷で農業を営んでいる、泉さんにたいへんお世話になっています。この時も撮影機材一式車ごと泉さん宅にあずけて、いったん東京に帰り、そして東京から戻ってきたばかりの時でした。日はすでに西に傾いていました。東の空には重く真黒い夕立雲がたれこめていました。日没には間に合わないかも知れないがともかく出て見ようということで、車を走らせました。その時偶然現在の拓真館近くの、この地点でこの場面と出合ったわけです。そこには正に息をのむような光景が展開されていたのです。
空には無気味な蒼黒い雲が重くのしかかっており、夕日に赤く燃えた大地の小麦畑とのコントラストは今までに見たこともない強烈な色彩でした。そしてその十数分後に起きた「麦秋鮮烈」と題する写真の光景は生涯二度とめぐり合うことの出来ないであろうと思われる、感動的な赤い閃光を残して日は没したのです。ドラマは二度くりかえされたのです。風景写真は駄目だと思ってもたえず挑戦する心掛けが必要であり、そこから必ず傑作が生まれるものであることをこの時しみじみと知りました。






  渓雪

群馬県土合
リンホフスーパーテヒニカV4×5 フジノン400ミリF8 
f16 1/8秒 フジクロームCRF

【解説】谷川山麓の湯桧曽川で出合ったこの光景は正に日本画そのものでした。川原の中州に白い弧を描いている雪を思いきり画面いっぱいに大きく取り入れて、川辺の木で全体のバランスをとりました。
平素比較的低速シャッターを使うことが多いのですが、この時はさざ波の波紋をなるべく止めたいと考えましたので、普段よりやや早目のシャッタースピードで切りました。雪の白さを強調するため露光は明るめに設定しました。
この写真からも様々な啓示を受けましたが、特に日本の風景は単純化して、格調高く、そして力強く表現しなければならないということを強く教えられました。その当時近い将来こういった写真が必ず受け入れられる時代がくるであろうという、確信を持つことの出来た私にとっては貴重な一枚です。






  落下清水

長野県木島平
トヨフィールド8×10 フジノン600ミリF11
f45 1秒 エクタクローム64P

【解説】この写真は、長野県木島平村にある樽滝という変わった名の滝で撮ったものです。
今回の10枚の中にこの写真を加えたのは、この写真そのものというより渓流や滝を長時間露光で撮ることによって、流動感の表現をしてきましたので、その代表作としてとりあげたものです。この静と動との組み合わせによって、墨絵に近い感じが極わかりやすく目に入ってくるので、今では一般にこの方法がよく使われるようになっています。しかし、今から20年くらい前まではこういった筆法を使う人はほとんどおりませんでした。
私の風景写真は従来から圧倒的に低速シャッターを使うケースが多く、現在も変わっておりません。遅いシャッターの方が何となくコクのある写真が出来ると思い込んでいるせいかも知れません。






  樹林幻想

青森県八甲田
トヨフィールド4×5 フジノン600ミリF11
f32 1秒 エクタクローム64P

【解説】青森県八甲田山に田代平(たしろたい)という所があります。この写真はそこで撮ったものです。その時もうあたりには夕もやが漂よっていました。木の葉のすっかり落ちた晩秋の頃です。
ふと見ると林の中に枝振りのいい大きな木が目に入りました。最初はこの木だけを撮るつもりでしたが、その木の後ろにある白樺の木が邪魔になってなかなかいいアングルがとれませんでした。そこで思いきって二本の木を重ねて見ることにしました。そして600ミリの望遠レンズで圧縮効果を狙ってみました。左側にあった一株の白樺の木もなかなかいい位置に収まりました。夕暮れが迫っていたので1秒のf32という値でしたが、なかなか雰囲気があってしかも力強い作品となりました。
その後もここを何回も通ったことがありますが以後一度もいいチャンスに恵まれておりません。風景は出合ったその時々を大切に撮るということを、この写真で教えられました。






  松葉流れる

長野県上高地
リンホフスーパーテヒニカV4×5 ニッコール 150ミリF5.6
f22 1秒 エクタクローム64P

【解説】この写真は晩秋の頃、上高地の小梨平で撮ったものです。この付近には樹齢の古いカラ松林があります。私はその時明神、徳沢方面へ向かう登山道を歩いていました。ふと下を流れる小さな川を見た時、その川にカラ松の落葉が見事に浮いているのに気づきました。浅い川で流れも極ゆるやかな川なので、枯枝や木の葉などが川をせき止めていたわけです。その時あることを思いつきました。あの小さな堰をはずしてやったら、浮いてい落葉は流れ出すに違いないと考えたのです。川の上にカメラを据え、足で枯枝の堰を静かにはずしてやりました。思った通り静的風景はまさに絵に描いたように動的風景に変貌していったのです。はやる心をおさえながらの数カットでした。後にはなんの変哲もない小さな川が何事もなかったように静かに流れていました。
静から動へ風景を演出したこの一枚は出来上がる前から予想した通りの結果でした。






  多彩の海

静岡県伊豆
リンホフスーパーテヒニカV4×5 テレクスナー360ミリF5.5
多重露光 エクタクロームE3

【解説】これは伊豆西海岸の南端に近い所で、10数年前に撮ったものです。この当時私はフィルターワークとも積極的に取り組んでいました。単純に人目を引くという点では多少効果があったと思いますが、特殊な場合を除き現在ではほとんど使っておりません。この時は雲の切れ間から光が逆光となって海面を照らしながら、雲の動きによってしだいに近づいて来るといった情況でした。そこで思いついたのが時間の経過による多重露光とフィルターの使い分けでした。
つまりカメラは固定しておき、海面を照らす逆光が次第に近づいてくるのを、何枚かの違ったフィルターを使って、数分おきに同一フィルム面に露光するといったやり方です。したがってこのカット一枚撮るのに約30分くらいかかりました。フィルターは黄、オレンジ、ブルー、グリーンの4枚だったと思います。この場合一番問題になるのは露光時間ですが、全くの勘でやるしか方法がありませんでした。出来上がったフィルムを見て自分の目を疑うほど素晴らしい出来映えでした。こういうことがあるから写真はやめられないと思いました。私にとっては忘れることの出来ない一枚です。ちなみに数回切った露光は400分の1秒で絞りf22と記憶しております。




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